「騙されない!」ための経済学 森永卓郎 2008/05/02発行

THE21という雑誌に連載されていたコラム(2007/01〜2008/03)を加筆・修正したもの。比較的新しいので最近の動向にも対応している。

  1. 資本主義とは弱者から搾取するシステム
  2. 一般大衆には選挙があるため巧妙にやる
  3. 2001〜2006役員報酬一人当たり84%増 株主配当2.6倍 雇用者報酬5兆円減
    1. サラリーマンが減って起業者が増えたのでは?
  4. メディアはスポンサーがあるため真実を伝えない。経済学者信用できない。筆者が小泉批判を繰り返していたとき経済の仕事が2割程度に落ち込んだ。
  5. 新聞は独自の価値観があるため、そのフィルターを通した情報のみしか入ってこない。日本経済新聞はお金持ちのための新聞
    1. 日経新聞を読んでいる読者の収入は高いらしい。
  6. 物の価値を肌で感じろ。アメリカで年収200万の人がプールつきの家に住んでいるのはおかしい(サブプライムローン問題)
  7. メディアの情報を表面的に捕らえると、都合のいいように利用される。経済をしっかり学んで、長期の視点を持ち騙されないようにすることが必要。
  8. 国の財務は悪化していない。
  9. EU経済の好調には裏づけがある。BMWなど値段でなく付加価値。ギリシャでは週48時間を越えた残業代に対する税率は100%
  10. 日本はかわいいを付加価値に。中国などと安売り合戦はよくない。

格差拡大の自由主義に対する批評が多く見られる。勝ち組になるための財テクなどを語った本ではなく、現在の政策、アメリカ、OPEC経団連などがいかに自分たちの都合のいいように、庶民を食い物にしているかその点に焦点が当てられている。行きすぎな理論もあるが、確かに考えさせられる物もあるのでゆっくり呼んでみるのもいいかも。筆者は経済的な豊かさより、精神的な豊かさを求める世の中に魅力を感じている。
しかし、経済アナリストと言った資本主義の手先のような肩書きの人が、なぜそういった考えになったかは非常に興味深い。